オンライン=オンライン


〜今日も仮想世界に新しい風が吹く〜



バロン♂        大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはリザレクター。
(以下もバロン)    特に特徴がある訳ではなく、気のいいお兄さん。
            何を演じるでもなく、気ままにプレイしてます。

シャロン♂       大人タイプのアバター推定25歳、ジョブクラスはブレイブナイト。
(以下もシャロン)   エセ方言が特徴的なお兄さん。バロンと仲良し。


ちょーちょ♀      少女タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはニュービー。
(以下は蝶)      バカップルの一号。遠距離恋愛中の少女。
            中身とアバターは、ほぼ一致してると考えてOKです。

エリック♂       少年タイプのアバター推定17歳、ジョブクラスはニュービー。
(以下もエリック)   バカップルの二号。遠距離恋愛中の少年。
            こちらも、中身とアバターが一致している雰囲気。
            とにかくラブのパワーを自分の体を通して放出できる人。

システムボイス♂♀   ゲーム本体からのシステムメッセージです。
(以下システム)    なんかこう、機械が発しているそんなイメージ。
            お昼のニュースを読んでいるニュースキャスターのような感じ。

配役表(3;1;1)



システム  騎士の街『アバンステルダム』郊外。

バロン  「あー、狩りめんどくせぇ……」

シャロン 「デスペナルティを貰うのも面倒じゃけえのお」

バロン  「そうそう、レベル95から96に上がってもそんなに性能変わらないしなぁ」

シャロン 「かといって、こうやって待ちの外で座っちょっても、経験地が貯まる訳でもないしのお」

蝶    「えーっと、すみません」

バロン  「ん?俺ら?」

シャロン 「ニュービーって事は新入りさんか。どうかしたのかのう?」

蝶    「この辺に、エリックって男のキャラクターが来ませんでしたか?」

バロン  「んー、俺は見てないなぁ。お前は?」

シャロン 「わしも見ちょらんのう」

蝶    「あ、ありがとうございます。
      街を下に出たところって、約束したんだけどなぁ……どうしたんだろう」

バロン  「待ち合わせか何かかい?」

蝶    「はい、場所はここで合ってるはずなんです」

シャロン 「サーバーとか、間違えちょらん?」

蝶    「はい、ここはサードサーバーですよね?」

バロン  「うん、合ってるなぁ」

シャロン 「じゃあ、キャラ作成の時に向こうの子も『ナイトになりたい』って選んだのかのう?」

蝶    「え…、えっと、何か変わるんですか?」

バロン  「最初に希望した職業によって、スタートの街が変わるんだよ」

シャロン 「ここはナイトの街『アバンステルダム』じゃけん、
      ナイトを選ぶとこの街でスタートすることになるのう」

蝶    「そうなんですか!?確認とってみます!」


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システム  その頃、エリック。


エリック 「どこだー!
      ちょーちょ!!
      どこにいるんだぁ!
      返事してくれー!
      俺はここにいるぞぉ!!」


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蝶    「連絡、とってみました」

シャロン 「どうじゃった?」

蝶    「彼は、シーフを選んだみたいです……」

バロン  「なら、彼は盗賊の拠点『バレー・オブ・ザ・サン』にいるね
      ちょうど、マップの上端と下端に分かれてしまった訳だ」

蝶    「そんなに距離があるんですか!?
      うう、ゲームの世界でもこんなことになるなんてぇ……」

シャロン 「ん、ゲームの世界でも?」

蝶    「その、エリックってキャラの人は、私が遠距離恋愛をしている彼氏なんです」

バロンM  リア充だ、リア充が目の前にいる!

シャロンM なんじゃろう、この気持ち。あえて言葉にするなら……殺意?

蝶    「たまに、夜行バスに乗ってわざわざ合いに来てくれたりして。
      交通費だけでも結構苦しいはずなのに、食事の支払いとかもしてくれて。
      悩んでる時とか、ちょっとメールするとすぐ電話かけてきてくれて、
      私の気が済むまで、ずっと話を聞いてくれるんです。
      それでもって―――」

バロン  「うん、わかった。君のエリック君が立派なのは良くわかった」(前台詞に被せる)

シャロンM なんじゃろう、この甘さ。胸焼けで、死んでしまいそうじゃけん……。

蝶    「え……でも、まだ親と話し合ったり、
      共通の友達といざこざしたり、一時気まずくなった時期を乗り越える話がまだ……」

バロンM  この人、本気で俺達を殺しにかかって来ているのだろうか?

シャロン 「カットで、とりあえずこのゲームを始める辺りから再スタート」

蝶    「あ、はい、わかりました。
      このゲームも、彼から言い出したんですよ、『いっしょにやろう』って
      オンラインゲームなら、時間が合えば何時でも会えるし。
      一緒に冒険に出れたら楽しそうだなって。
      でも、ゲームの中でも距離が離れちゃうなんて……」

バロン  「一度キャラクター同士が合わなきゃ、フレンド登録も出来ないしな。
      チャットも飛ばせないって状況か」

シャロン 「ワープも、一度自分の足を運んだ街にしか跳べんけぇのう」

蝶    「歩いていくの、どのぐらいかかるんですか?」

バロン  「歩くだけなら、そうたいしたこと無いんだけど」

シャロン 「それなりに、強いモンスターがうろうろしているけぇのう」


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システム  その頃、エリック。


エリック 「『アバンステルダム』だな。
      今いくぞ、ちょーちょ
      この程度の試練ぐらい、俺の愛で木っ端微塵に乗り越えてやるからな。
      愛のダッシュ!」


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バロン  「最初のうちは、モンスターから攻撃してこないから、安全に進めるけど
      途中からは、モンスターに見つかると攻撃してくるようになるから。
      戦闘は、避けられないだろうね」


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システム  その頃、エリック。


エリック 「おお、モンスターが攻撃してこないぞ。
      俺の愛に恐れをなして、手も足も出せないとみた。
      見てくれちょーちょ、俺の愛はこんなにも完全無欠で無敵だったんだ!
      ん……あのモンスターは、俺を追いかけてきているような……」

システム  エリックさんが戦闘不能になりました。


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蝶    「そうですか。だと、難しいですよね」

シャロン 「まあ、キャラクターを作り直せば、その街でスタート出来るけぇのう。
      それが一番手っ取り早いかもしらんのう」

蝶    「あ、その手がありましたか」

バロン  「だけど、そのキャラクターネームはもう使えなくなっちゃうね。
      重複するネームじゃ、登録できなくなってるし」

蝶    「そう……ですか」

シャロン 「……いくかの」

蝶    「え……」

シャロン 「……その名前、気に入ってるんじゃろう?
      な、いいじゃろ?バロン」

バロン  「ちょうど、暇してたところだしなぁ……いいんじゃねーの?」

蝶    「えっと、という事は……」

シャロン 「つれてっちゃる、『バレー・オブ・ザ・サン』」

バロン  「お姫様を護衛しながらか、なかなか面白いんじゃないか?」

蝶    「あ、ありがとうございます!」

システム  バロンさんが、ちょーちょさんをパーティに招待しました。
      ちょーちょさんが、パーティに追加されました。

蝶    「よろしくです。
      あ、この名前はですねぇ……実は彼が!」

バロン  「もう、いいわ!」(前の台詞に被らせる)

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システム  フィールドマップ『ルレアントの滝』

シャロン 「あぶないけぇ、わしらより先に出ちゃあいけんよ?」

バロン  「まぁ、倒れても俺が復活させてやるから、あんまり関係ないけどな」

蝶    「き……気をつけます!」

(ちょっと進む、間を空けて欲しい。)

蝶    「うわぁ……滝、綺麗」

バロン  「久しぶりに見ると、違うなぁ。こんなにダイナミックだったっけ?」

シャロン 「前にここを通った頃は、モンスターから逃げるので精一杯だったけぇ。
      余裕を持って見ると、この作りこみは圧巻じゃのう」

蝶    「プログラムだってわかってても、やっぱりすごい!
      思い切って、周辺機器を買い揃えた甲斐がありました!」

バロン  「わすれてたなぁ……レベルだけがゲームじゃねぇってさ……」

シャロン 「じゃのう、どうしても長く続けるとステータスにばかり目が行ってしまうけぇ」

蝶    「……私、絶対またこの滝を見に来ます。今度は、エリックと一緒に!」

シャロン 「あぁ……それがええな」

バロン  「進もう、まずはエリックって奴に合流しなきゃ始まらないからな」

蝶    「はい!」


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システム  盗賊の拠点『バレー・オブ・ザ・サン』

エリック 「ちょーちょ!!!」

蝶    「エリック!!」

エリック 「あぁ、ちょーちょ!!!」

蝶    「おぅ、エリック!!」

エリック 「ちょーちょ!!!」

バロン  「いつまで続けるつもりだろうか?」

シャロン 「あの状態になったら、ほおって置くのが一番じゃけえ」

蝶    「会いたかった!!」

エリック 「僕もだよ、でもモンスターという壁が僕達を遮っていた。
      すまないちょーちょ、今の僕では、その壁を乗り越える事は出来なかったようだ……」

蝶    「エリックは、悪くない。いっぱい頑張ってるの知ってるもん!」

バロンM  そりゃ、ゲームの仕様だからな。越えられなくて当然だろ……。

蝶    「それに、ほら……私達、ちゃんと再開できたじゃない。
      運命の赤い糸は、ちゃんと繋がってた……」

シャロンM ここまで突き抜けていると、逆にすがすがしいのぅ。

エリック 「それもこれも、二人の絆を守ってくれた、恋のエンゼルさん達のお陰だね♪」

蝶    「そうだった、エンゼルさん達にお礼をしなくっちゃね♪」

シャロンM エン……?

バロンM  ゼル……?

バロン  「おい、あのバカップルこっち向いたぞ」

シャロン 「つまり、わし等がエンゼルさん達らしいのぅ……」

バロン  「俺、他人の恋を届けるより、自分の恋を探したいです」

シャロン 「エンゼルさんの仕事とは知らず、引き受けてしまった訳じゃのぅ
      諦めぃ、意図せずも二人を繋いでしまったことは、事実じゃけぇ」

エリック 「ちょーちょを送っていただいて、ありがとうございました」

蝶    「お世話になりました」

シャロン 「まぁ、大した事はしちょらんよ」

バロン  「気づかされる事もあったしな」

蝶    「ところで、お二人のレベルは?」

バロン  「二人とも96だよ」

蝶    「私、強くなります。
      頑張ってレベル上げますから、また一緒に冒険してくださいね!」

エリック 「その時は僕も一緒に」

バロン  「もちろん」

シャロン 「じゃけえ」

蝶    「では、今日はもう時間が無いので……お疲れ様でした!」

エリック 「今日は本当に助かりました、では!」

バロン  「お疲れ」

シャロン 「乙」

システム  フレンド ちょーちょさんが、ログアウトしました。
      フレンド エリックさんが、ログアウトしました。

シャロン 「行ってしまったのう」

バロン  「あぁ、楽しくプレイできればいいよな、あの二人」

シャロン 「のう、バロン」

バロン  「なんだ?」

シャロン 「たまには、新キャラ作ってみんかのぅ?」

バロン  「……いいな、ソレ!」

システム  キャラクター作成が完了しました。
      ようこそ、アドラーニェ大陸での生活をお楽しみください。






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お楽しみください。

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ゲーム用語解説集


アドラーニェ大陸 ゲームの舞台になる大陸。

ニュービー ジョブタイプの一つ、キャラ作成直後の職業。
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